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人魚王子

第2章 本編


その夜。

お風呂上がりの私に1本の電話が来た。

「涼夏、お母さんからよ」

お婆ちゃんから受話器を受け取る。

「もしもし?」
「涼夏、明日から新しい所に住むから、荷物準備しておいてね」
「え……。もう行かなきゃなの?どうしても……?」
「えぇ。やっと準備が終わったのよ。新居で慣れないと思うけど、わがまま言わずに協力して?ね?」
「……………………」

私はしばらく何も言えなかった。

「……涼夏?」

お母さんの声にはっと我に返り、乱暴に電話を切った。

……わがままなのはどっち?

私は転校なんてしたくなかった。
友だちとも別れたくなかった。
それに、また転校したら、海翔とも……。
嫌だ、海翔と別れたくない……!
どうすればいいの……!?
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