第1章 番外編 1
「たーかや」
「…………」
「たかやー」
「…………」
「なぁったら」
「うるさい!集中出来ないだろ!」
そう、小声で怒鳴った。
今俺と隼人は図書室に来ていた。
と言っても、隼人は勝手について来たのだが…。
「だって貴夜が全然相手してくれないから…」
「俺は勉強しに来てるんだよ、邪魔するなら帰れ」
「冷たいなぁ、せっかく付き合ってるのに」
「な!?そんなことここで言うなよ、誰かに聞かれてたらどうすんだ!」
「俺は別にいいもん」
「俺がよくないんだよ」
俺はため息をついて、和英辞典を取りに行こうと思い席を立った。
「何処行くんだよ」
「何処でもいいだろ」
隼人がひきとめるのも無視して辞典コーナーの棚に向かう。
えっと、和英辞典は……。
「あ、あった」
和英辞典と言う文字が目に入りそれを取ろうと手を伸ばした時、誰かに腕を掴まれた。
驚いて後ろを見たら案の定隼人がいて、凄く嫌な予感がした。
「はやっ…………んぅ!?」
突然唇をふさがれ、準備もしてなかったから直ぐ息が苦しくなる。
空いている手で押し返そうとしたら、その手も掴まれて身動きが取れなくなってしまった。