第1章 心臓の音 1
ーーーーーー…
「もっと早く飛べ!もっと高く飛べ!
俺はもっと高い舞台へ行くんだ‼︎」
「影山、お前もうベンチ下がれーーーー…」
中学生活最後の大会。
ベンチに下げられた影山飛雄は深く甲を垂れて俯いていた。
3年間マネージャーをしてきた私はなんて声をかけるか迷ってた。
そんなに…
そんなに落ち込まないで…
私は頑張ってきたの知ってるよ?
ただ、からまわっちゃっただけだよね?
『影山…くん、監督もただちょっと頭冷やさせようと思ってるだけだよ…』
「... ...」
『あの…ドリンクここにーーーーー…』
バシッ!!
影山くんが座ってるすぐ横にドリンクを置こうとした。
だけど、それは影山くんによって阻止された。
「ゴチャゴチャうるせぇ‼︎‼︎ 俺の3年間をなんも知らねぇやつが口出しすんじゃねぇ‼︎‼︎‼︎」
開ききった瞳孔で私を鋭く睨みつけ
ドリンクを私の手から弾いた影山くんは
ハッとしたようなバツが悪そうな顔にした。