第17章 お誕生日おめでとう @ 及川徹
花に腕を引かれるまま、花の家の中に入った。
いつも遊びに行く時にある何足かの靴は綺麗に片付けられていて、家の中に気配は感じられない。
「お母さん達は?」
『会社の慰安旅行って。温泉行っちゃいました。』
中にどんどん入っていくと、テーブルの上にはケーキとカレーが乗っている。
「…これって、まさか?」
『及川さんお誕生日おめでとうございます。1日早いですけど、1番に目を見てお祝いしたかったので。』
花は屈託無い笑顔で及川に笑いかけた。
及川はだんだん熱いものが込み上げてきたのか、顔を掌で覆って下を向いた。
「そういうの反則だと思うんだけど…」
『そうですか?』
そう言いながら花は立ちっぱなしの及川に座るよう促した。
二人でご飯を食べながら、学校の話を沢山した。