第17章 お誕生日おめでとう @ 及川徹
7/19。
夜、会いたいと言われたので、花の家の近くにある公園に向かう。
湿気が多くて蒸し暑く、蝉がうるさく鳴いている。
早く彼女に会いたい、その想いだけで疲れている体を走らせた。
『及川さん!』
花は走ってきた及川に気づき、大きく手を振った。
そんな小さな体の彼女を抱きしめて、頭の後ろの方を大きな掌で撫でた。
「待った?」
『全然そんなことないです…』
少し湿った彼女の肌に触れながら、及川は花の首筋に顔を埋めた。
及川は自分の身体が汗まみれなことに気づき、物凄い速さで花の身体を引き剥がした。
「俺…汗臭くない?」
『全然?』
「よかった…」
安堵する及川に近づいて、花は腰に腕を回した。
シャンプーの匂いが及川の鼻をくすぐった。