第9章 福寿草
「ダメ。」
「え?」
「また目を背けようとしないで。」
「また?」
「ここから逃げたら……京治君も私と同じ所に来ちゃう。」
「あの……何言って……」
「私は……京治君に幸せになってもらいたいの!」
「っ!」
私は京治君に幸せになってもらいたいな。
「だから、たとえ辛い答えだとしても今は私がいるから怖い事なんてないんだよ。」
「君は……」
赤葦が聞く間もなく、女の子は握った手に力を入れると、何かを決心したように赤葦の手を引いて階段に向かって走り出す。
赤葦も引かれるまま階段を登り、階段を登りきった先の光景を目の当たりにするとその光景に目を丸くした。
階段の先に広がるのは
今まで赤葦の中から消されていた
一面黄色に染まる福寿草の花畑
そして福寿草の中に倒れてる山口がいた。
*