第5章 リンドウ
「だってほら、スガ君呼び以外にも、ポジションを影山に取られた事とか知ってただろ?
俺の事は全然話に出なかったし、明らかに爽やか君絡みじゃん?」
「いや、それはそうかもしんないけど……」
そんなの心当たりがあればとっくに思い出してる。
「爽やか君もモテそうな顔してるから、誰かフッた子に恨まれてるとか、元カノとか。」
「残念だけど、告白された時がなければした時もないし、彼女もいな…………!」
ピタッと菅原の動きが止まる。
「彼女」この言葉に引っ掛かりを覚えた。
俺には彼女はいない。
彼女はいないが、彼女がいた人物なら知ってる。
そりゃ、高校3年だし友達にも彼女がいる人なんて何人かいる。
その中でも烏野バレー部に関わりがあって、尚且つ青城や音駒、梟谷とも関わりがありそうな彼女を1人だけ知っている。
そしてその人は俺の事を「スガ君」と呼んでいた。
まさか、あの影って……
「東條小百合……?」
花巻と女性が菅原を見た。
しかし、菅原は名前を口にしてからまさかなと、首を横に振り思考を打ち消す。
いや、まさか彼女に限ってそれはないだろう。
第一彼女は誰よりも被害者なのだから。
「人間って生き物はね……」
「「?」」
「見た目だけで判断したら駄目なのよ。」
女性が語りだした。
「花だって同じ。
綺麗な花だって毒を持ってるかもしれないしね……。」
だから
油断したら貴方達……
「生きて返すものか。」
影がすぐ近くに立っていた。
*