第5章 リンドウ
「爽やか君はさ、今の状況どう捉える?」
「よくマンガで見るような、今お花畑に逝ってた……みたいな事態じゃないことを願いたい。」
辺り一面、薄紫色のリンドウで敷き詰められた花畑に佇みながら、花巻の質問にどこか遠くを見るような眼差しで菅原が言う。
チャイムが鳴り、暗い中に落ちたかと思えばここにいた。
落ちてからどうなったかは覚えてないが、目が覚めたら一面お花畑だったのだ。
しかもあろうことか、青葉城西の花巻と2人きりらしい。
「校舎の中から外にいるっていうのは多分考えるだけ今は無駄なんだろうな。」
よいしょっと、立ち上がればさわりと、撫で付ける心地好い風に髪を揺らし、雲ひとつない真っ青な空を仰ぐ。
校舎にいた時は暗かったのに、今いる外は真っ昼間のように明るい。
一瞬、校舎の中にどれだけいたのかと考えたのだが、時計を持ってない限り時間もわからないだろう。
時計を持っていた所で正確にわかるかも怪しいし、時間よりも優先にバラバラになった皆が無事なのか心配だ。
遠くを見てもリンドウと青空の……言わば地平線のような境界線しか見えない。
まぁ、川が見えないだけ精神的に救いではある。
リンドウと青空の他といったら花巻だけだし……と、これからどうしようかと相談を持ちかけようとし、座ったままの花巻を見ればパチリと花巻と目が合った。
どうやら、ジッと菅原の事を見ていたようでどうした?と菅原が首を傾げれば花巻が飛んでもないことを口にする。
「お前って可愛い顔してるから花畑似合うよな。」
……………………………………………………。
……?
え、何?どういうこと?
このタイミングでこいつ何言ってんの?
何時あの鉈持った影が現れて、殺されるかもしれない死亡フラグが立ちっぱなしのこんな中で、別の腐ったフラグ立てようとしてんの?
取り敢えず、俺が白旗でも立てればお前のその妙なフラグは下ろしてくれる?
「お……」
「お?」
「俺は年上派だべ!!!!」
「何の話だよ。」
「え……。」
微妙な空気が流れた。
*