第3章 アザミ
ピタリとチャイムが鳴り止んだ。
自分たちの学校となんら変わらないチャイムで聞き慣れているハズなのに、今まで鳴ってたチャイムの音は皆の耳に底知れぬ不快感だけを残していた。
気持ち悪い。
まだ、頭の中で未だにチャイムが鳴ってる気さえする。
「今のチャイムは一体……。」
やっとの事で及川が声に出すが、誰もわかるハズはないので、それに答える人はいなかった。
どうやら、ナイフもどこかに行ったらしくリエーフが襲われて以降、気配は無いように感じる。
「この教室を開けたのは誰?」
いつの間に居たのだろう、音もなく女の子が教室の中に立って皆を見回していた。
その子はさっき聖夜達が大きな手に追い掛けられる前に表れた女の子。
ムッとした表情で1人1人の顔を伺っている。
ひっ、と聖夜が襲われた時の事を思い出し、逃げようとしたが、及川に待ってと動きを止められた。
襲おうとしてるというか、ただ、単純に女の子は何かに怒っているように感じた。
それに、他の皆も騒ぎ出さない所を見るとこの子は害がないのだと思う。
女の子は開いた扉をパタンと閉めると、今まで足首まで浸かっていた水は消え、睡蓮だけが床に残る。
本来なら水に濡れ気持ち悪いハズの足元も水に浸かっていたのが嘘のように乾ききっていた。
女の子はそのまま睡蓮まで歩み寄ると、グシャリと容赦なく裸足の足で踏み潰す。
そして改めて顔を上げる。
「この教室を開けたのは誰?」
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