第10章 36日目
「はい、お疲れ様でーす!」
「あざっしたー。お疲れ様でーす。」
さすがに3分とはいかなかったが、20分で撮り終えた。こうなるとやはり、相葉さんの異常な収録の長さが不思議に思える。…要領悪すぎやしねえか。
さっ、これでやっと家に帰れる。そう考えると足取りも軽く、行き交うスタッフに挨拶をしながら楽屋へ戻ろうとしたその時、左ポケットに入ったままだった携帯が震える。
あ、やべ。入れっぱなしだった。携帯を取り出すと、メール受信のランプが点滅するのを確認する。送信者には私の胸を踊らす人の名前。
『二宮くん、お疲れ様です。友達とご飯を食べているので、少し遅くなります。』
「…まじですか、さん。」
メールの内容にガクッと肩の力が抜ける。いつまでたっても触れられないと思っていたが、本当に忘れられていたとは。その重たい足で楽屋へ向かった。