第6章 32日目
「ニノ、ちゃん元気?」
「ん、」
「ん、って。何それ」
仕事が終わって何故か相葉氏の家に上がり込んでいる私。早く帰りたい場所があるっていうのに。
「元気、だと思う」
相葉くんの珍しい突っ込みをうけ、寝そべりながら目の前にあるマンガに返事をした。
「何それー、会ってないの?」
「いや、会ってはいる。いや、見てはいる」
「…は?」
眉を寄せてこちらを見る彼。たぶん俺のために作っているであろう料理のフライパンを動かすその手が止まる。
「なんか、俺みたいなこと言ってる」
「ですよね」
マンガを床に置き近くにあったキャラクタ ーの抱き枕に手を伸ばすと、それに腕を回してギューっと思いっきり潰してやった。
「どうしたの」
「いや、…一緒に住んでる」
「……、は!?」
「…………」
「誰と!」
「…………」
「誰が!」
「私と、が」