第3章 29日目
「まさか、手当してないの…?」
「手当って何、水で洗ったよ」
「なんて男前なんだ」
「何言ってんの」
そんなんじゃ、すぐ治る傷も治らない。
私は治療BOXを寝室から取り出した。
BOXを開けて消毒液を見た彼が、あからさまに怪訝そうな顔をして。
「それしみるやつ?」
と私に問いかける顔はなんだか可愛い。
「まあ、しみるよ傷だもん」
「えー痛いのはやだよ俺」
「さっきの男前な二宮くんは
どこに行ったんですか」
「このままでいい」
「そのままじゃ治らないよ」
「舐めれば治るから、舐めてよあなたが」
「…はい?」