第12章 38日目
「叔母さん、隆太に代わろうか?」
『うん、よろしく~。』
「隆太、ママから電話、」と携帯を隆太に渡す。
さっきまで二宮くんの膝に座っていた隆太が、そこからピョンっと降りて「ママ~!」と携帯電話に嬉しそうにすがり付く。
ひとりぼっちになった二宮くんに近付くと、なんとなく寂しそうな顔をしていた。
「寂しいんですか?二宮くん。」
「え?なんでよ、クソ重かったわ。」
「…ふふ、そっか。(嘘つきめ)」
「ちょっと、寂しかったのは、あなたでしょ?」
二宮くんがもたれていたソファーから背中を離して前屈みになると、首を傾げるようにして私を覗き込む。
「…わ、わかってたんですか?」
「わかってましたよ、初めから。」
「まさかわざと、」
「さて、どうでしょう。」
「隆太が二宮くんみたいになったら困ります!」
「うん、それは俺も困る。」
え、なんで?と二宮くんを見ると一度、隆太の方を確認して私に近付く。
重なった唇は一瞬で、そのまま目を開けている私に
「こんなこと、隆太にされたら堪んないからね。」と目を細めて意地悪に笑う。
その顔は反則レッドガードで退場です。
『 オバケにだって渡さない 』END.
「レッドガードとか
なんでそんな寒いこと思い付くの?」
「……え?(寒い?うまくない?この例え)」
「…(この人相葉さんに似ているかと思いきや、
翔ちゃんにも似てんだな)」
「あ、の…ところで二宮くん、
ほんとに結婚してくれるんですか。」
「え?やだよ、オバケでるし(嘘だけど)」
「え!で、出ないよ!出さないから!
(徐霊しに行かなきゃ…!)」
「まあ随分と必死だね。
(絶対御守りとか買いに行くんでしょうな)」