第11章 37日目
「二宮くん、では行って参ります。」
ソファーでDSをピコピコさせる二宮くんに声をかける。
「んー行ってらっしゃい。」
「………、」
私とは視線を合わせず、今日も彼は目の前の小さな機械に夢中。同窓会へと出掛ける私には全く興味がなさそう。…しゅん。
「こ、これ!新しく買った服!」
なんとか視線を集めようとピシッとスカートの裾を掴んでみる。
「…………」
黙ったまま一瞬手を止めて、私の姿を見る二宮くん。爪先から頭の先まで見るような視線に、自分から言っておいて急に恥ずかしくなった。
「………あ、はは」
「え、今何か笑うところ?」
「……(可愛い、とか綺麗だとか、反応がない)」
「ふふ、」
「今の笑うところですか?(出来れば可愛いがほしいのに)」
「うん、可愛い可愛い。」
「な、投げやり感が否めない…」
「あはは、ホントに可愛いってば。」
二宮くんがDSを手放した。