第10章 赤い月夜 [澤村×菅原]
~澤村side~
「じゃあスガ、帰るぞ」
「おぅ、体育館は旭と西谷に任せてあるから。」
部活後、俺と菅は施錠のため最後まで残っていた。
「っつか今日、変な月だな」
と、鞄を肩に掛けながら部室の窓から月を見ていた。
「あぁ、そいや今日はなんか数年に一度の・・」
ドサッ・・・
突然スガは、掛けていた鞄を落とした。
そして、ゆっくり俺を見た。
「おい、スガ。どうし・・・!?」
俺は、振り返ったスガに違和感を感じた。
雰囲気が・・・いや、目が違う。
「お前、誰だ?」
「えっ?俺は俺だよ。大地」
と、笑う。
だが、俺にはその笑顔さえ違和感しか感じなかった。
「もう一度だけ聞くぞ?お前は誰だ?」
俺は、きっと怖い顔をしていただろう。
さすがにそいつは勘弁したようで
「あぁ~あ・・やっぱ無理か・・。」
と、頭を掻いて再び俺を見た。
「俺は、君の知ってるスガだけど、ホントのスガじゃない。いわゆる、ヴァンパイヤのスガだよ。」
「ヴァンパイヤ?」
「うん、今夜の月は僕らヴァンパイヤにとっては最高の夜なんだよ。」
「ふーん・・。んでスガは?」
「ん~、今はいないよ。」
俺は、怒り過ぎてスガの体をしたそいつを殴りそうになった。
「おっと・・。」
そいつは殴り掛かった俺の腕をつかんだ。
「危ないよ大地。少なくとも体は君の大好きなスガなんだから。」
と言い、腕をつかんだまま俺を押し倒した。
普通ならスガなら簡単に力で勝てるが、
「くっ・・!!」
「無駄だよ、人とヴァンパイヤじゃ、力の差があり過ぎるんだよ。」
と、そいつは片手で俺の両腕を持ち、制服のボタンを外し始めた。
「なっ!!おい!!何する気だ!!」
「何って、ヴァンパイヤのすることって言ったら・・一つしかないでしょ?」
と、そいつはペロッと舌なめずりをした。
そして、俺の首に触れた
「や・・やめろ!!!」
「じゃあ、いただきま・・・!!!」
突然、そいつは俺から離れた。
そいつは、苦しそうに胸を押さえていた。
「・・・やめるわけないじゃん・・こんなチャンス絶対に・・」
誰かと・・話している?
「大丈夫だよ・・君の大地にはひどいことしないから・・。」
君の・・・?
まさか・・・・!!!!