第25章 負けず嫌い
他の者は重い顔をしていた。
横山の話が衝撃的だったからだ。
村上「じゃあ、
そいつは自分の美貌のために
大倉の赤ちゃんを奪おうとして、
あの部屋まで爆発させたって事か?」
村上は、頭をかきながら言った。
安田「なんか、めっちゃ自分勝手なヤツやなあ」
安田は、少し笑いながら言った。
横山「人間は、本来自分勝手な生き物やからな」
横山は、大倉の肩を叩きながら言った。
錦戸「ほんまに、イカレてるヤツやと思うで」
汚れてボロボロになった服をはたきながら、
錦戸は言った。
丸山「俺の母さんは、俺を守るために...]
言葉に詰まる丸山に、大倉は優しく肩を抱き
大倉「お母さんはそれが願いだったんだと思う...」
優しく丸山に語った。
渋谷「ほんなら、
今回は大倉のガキを守って、犠牲者なしで
アイツに勝ちますか。」
笑いながら言う渋谷に、みんなは頷いた。
安田「でも、アイツの弱点が分からんやん、
捕まえても、毎回砂になるやん」
安田は、少し疲れたのか、大きな瓦礫に腰を掛けた。
村上「弱点か...」
村上は横山を見た。
横山は無言で考えていた。
渋谷「でも、
あの時、なんでアイツは血を流したんやろ。 」
渋谷は不思議そうに言った。
錦戸「俺、一瞬だけアイツの匂いを感じたんや。
それまでその部屋には違和感はあったけど、
匂いはなかったんやけどな」
錦戸は、その時の事を思い出すように答えた。
丸山「一瞬だけ匂いがする?」
錦戸の言葉に、
丸山は遠い記憶を思い出そうとした。
大倉「横山君は魔女って言ったけど、それって...]
大倉は、頭を悩ませているようだった。
横山「とにかく、今は敵を調べな、何も答えはでない」
横山は冷たく言った。
そして一人 さっさと歩きだして
その場を離れて行ってしまった。
村上「アイツは
誰よりも負けず嫌いやから、一番悔しいのかもな」
村上がそう言って部屋を出ると
みんなもその場を後にした。