第14章 モード、1。振り出しに戻る。
「あなた達、一度体育館へ行った方がいいわね。タイカがここに来たことにより無理やり次の段階へ進もうとしているわ。」
リアちゃんはそう言って立ち上がり、キャンバスから絵をはがしてクルクルとまいて輪ゴムでまとめた。
「はい、これ。」
私に絵を差し出してくる。戸惑っているとはやく受け取れと言わんばかりに前に押し出された。
「それ、香太郎にわたしてね。あの子から言われてた絵、完成したの。直接わたせないのが心苦しいのだけれど。」
フフッと微笑んで彼女は再度いすに座った。
「あの………」
そんな彼女に黒子くんが声をかけた。
「………ごめんなさい、心臓が口からでそうなほど驚いたのだけれど…」
「黒子は陰薄いからな!」
リアちゃんの反応に高尾くんはゲラゲラ笑う。
「先ほど、タイカって言ってましたけど、小林先輩のことですか?」
「…………そう、なるんじゃないかしら。」
「どういうことですか?」
リアちゃんは言葉を選んでるようだった。しばらく、黙っていたがやがて口を開いた。
「あなた、全てを知りたい?後戻りできなくなるけど?
でも………そうね。私からあなた達へ話せることは一つね。
あなた達、このままじゃ永遠にここから出られないわよ。
あの子がいる限り、ね。
玄関の扉はマスターキーで開けられる。でも外に出てはいけない。普通に物事を考えては駄目なのよ、ここは。」
「…どういうことか、さっぱりわからないのだよ。」
…………のだよ?
リアちゃんは怪訝そうな顔で復唱したが、話しを続けた。
「扉を開けば部屋がある、なんて考えてはいけないわ。扉を開けば血の海があるかも?道をただ歩くだけで森へ行くかも?なんて。
もっとも、そこのお嬢さんは全て体験済みのようだけれど。」
ピンポイントでこっちを見られて苦笑い。いや好きで体験してるんじゃないからね!?
「まぁ、疑えってことね。それじゃ、体育館へいってらっしゃい。お話しができて、楽しかったわ。」
彼女がそう言うと、まばたきした次の瞬間には体育館にいた。