第5章 再開
「すみません、渡辺さん。起きてください。」
「ん~?あと一年…」
「駄目です。」
黒子君にそう言われ体を起こすとパサリと何かが床に落ちた。
「赤司君のですよ。」
洛山高校のジャージだった。
「すみません。渡辺さんが寝てたら2、3分ぐらいしかたってないんですけど…」
「あ、そうなんだ。気にしないで気にしないで。もう大丈夫だし!」
征十郎のジャージを拾って立ち上がる。が、再び倒れる。
「渡辺さん!?」
「ごめん、大丈夫!」
これ完璧貧血だ。超フラフラする。私は貧血が始まればきついし長い。頑張ってなんとか起きあがる。
「それで何の用?」
「皆でミーティングやるんです。とりあえず現状報告ということで…。それ終わったら休んでいいですから。」
黒子君が指さす方にはもう皆が集まっていた。
私もその輪に加わる。
あー、頭クラクラする…。
「咲姫、何か発見はあったかい?」
唐突にそう聞かれてムカッときた。
発見といえばあの赤い文字しかない。
せっかく忘れかけてたのにまた思い出してきたじゃない!
ジャージかけてくれてちょっと嬉しかったあの喜び返せ!バカ征!
イライラしたらまたクラクラしてきた。
「音楽室で急に倒れたから何かあったのかなーってことだよ。ねー赤ちん」
紫原君がフォローを入れて征十郎も頷く。
だが困る。正直あの赤い文字にどういった意味があるのかわからないし、それだけで気絶したのか!?と言われても嫌だ。
ツギハオマエダ
どういう意味なんだろう…?
「渡辺!とっとと言え轢くぞ!」
なかなか言わないのにきれたのか宮地さんが脅してきた。
「…そんな大したことないというか…発見というものでもないというか…強いて言えばやはり私はホラーにむいていないというか……」
「んなこと聞いてねぇもうあれだな。焼こう。」
「や、焼く!?焼いて食べられそうな勢いですね!?はっ!轢かれて焼かれて食べられるんですか!?」
「待つのだよ。ふざけてる状況か。」
叫んだらまたクラクラしてきた。
「脱出の手がかりとかそういうのじゃないならいいんじゃないすか?無理に思い出すこともないっす。」
「わ、きーちゃん紳士的!どうしたの?頭うった?」
ひどいっす!と嘆く黄瀬君をよそにさつきちゃんは私の所にやってきた。