• テキストサイズ

箱庭【夢小説の庭】

第3章 【短編】待ち恋



何か粗相をしてしまったのかと慌てふためく彼に曖昧に笑いながら適当な言葉をかけて落ち着かせる。君のせいじゃないよ。大丈夫。


「私のせいだから。」
「ええ!?ロゼさん、リヴァイ兵長に何したんですか!」
「ね、何したんだろうね。」
「ここにきて誤魔化しですか!?何ですかそれ!!」


決して誤魔化しているわけではない。私にだって分からないのだ。寧ろ教えてほしいくらいだ。

調査兵団に入団したときから起きてる"アレ"…鋭く睨まれている理由を!!





リヴァイ兵士長は鬼のような人だ。

掃除がなってねぇと蹴られる。
鍛錬が甘いと蹴られる。
紅茶が不味いと蹴られる。
うるせぇと蹴られる。

とにかく、粗暴な人だと専らの噂だった。事実、上の事柄で一日に何人もが被害を受けている。…と、それを知ったときは絶対彼を怒らせないようにしようと神経を張り巡らせて気をつけた。…はずだったのだが。もう遅かったのか、何がいけなかったのか。私は入団したその日からガンを飛ばされ続けているのだ。今のところ暴力は奮われてないけれど。

ほとんどが良い状態に転がっていくのに、兵長に睨まれるという行為は一向に無くならない。しかも日に日に強くなっていく。気がする。多分、間違いない。もはや眼力だけで卒倒しそうな勢いだ。身体に穴があきそう。余りにも執拗なので、もしかしたら何か用があるのかも?と恐れながらも何度か振り返ったものの、興味なさげにふいっと視線を逸らされてしまう。

…ただ、分かったことが一つ。私はやはり、何かをやらかして嫌われている。じゃなきゃ無言で目を逸らされないもの!

気がつけば彼の視線や気配に敏感になり、今や視線の痛さや恐怖からの震えが止まらない始末。もはや病気である。


「!へ、兵長がこっちに、」
「えっ!?わ、私!もう行くね!」
「ええ!?ちょ!ロゼさん!!」
「ごめんね!エレンくん!!」


今度埋め合わせするから!そう言い残して私は厩舎を走って飛び出した。

逃げないと殺されてしまう。多分。

建物に入ったところでエレンの叫び声が聞こえて一瞬足を止めたものの、また動き出す。取り残した罪悪感に胸が痛んだ。

こんな罪悪感…壁外調査の時だけにしてほしいよ!いや、決して取り残したりはしないけれども!
/ 31ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp