第2章 【短編】溶け合った希望
「……兵長…」
「あ?」
「ありがとうございます。」
「……」
「私、あの兵長が食べられてしまったんじゃないかって…動揺してしまって、それであんなことを…」
「馬鹿言え。俺があんなのろま共に喰われるかよ。」
「ふふっ…本当、そうですよね。」
『結論から言うと、リヴァイは捕食されたのではない。』
『え?』
『君を助けにいくと言って聞かなくてね、勝手に自分から巨人の胃袋に入っていってしまったんだよ。』
『ええ!?』
『理由は…まあ、それは本人から聞きなさい。』
あんな話を聞いて、自惚れるな、だなんて…そんなの、無理だよ。
一つ、二つ…涙がこぼれ落ちていく。
頭の上で、慰めるように上下する温かい手に自分から擦り寄る。それから体を捻って彼の胸に飛び込む。腕は図々しくもその逞しい背中へと回す。
温かい。
安心する。
「…へい、ちょう…!」
「…ああ。」
「怖かったよぉ…!!」
「ああ。」
「もう、死んじゃうのかなって、思った…っ、」
「馬鹿ロゼ。命令しただろうが。」
『いいか。死ぬなよ。そして諦めるな。これは命令だ。』
「死ぬなと言ったはずだ。」
「でも、あんな状況じゃ…」
「諦めるなとも言った。」
「…けど、」
「"でも"も"けど"もねぇ。」
「……、」
「…お前が仲間を守ることに命を懸けているのは知っている。だが、お前自身は誰が守ってやるんだ?」
「…そ、れは…自分の力で…」
「俺しかいねぇ。ロゼを守れるのは。」
─…え…