第7章 *5*
アルミンは、女型の巨人から逃れようと必死に走る。そして、もう一頭の馬の綱を外しては放す。女型の巨人は、既にアルミンの後ろにいた。
女型の巨人は、右足をアルミンの前へともっていく。
──こいつは…いや、こいつらは何が目的なんだ?
アルミンの頭は、そんな風に疑問でいっぱいだった。ズドォォ!という音がなり響く。アルミンは、うッ…と声を上げては落馬をする。
女型の巨人は、アルミンの近くで地面に膝をつき、右手でゆっくりとアルミンのフードを取る。女型の巨人は、数秒ほどアルミンの顔を確認する。
確認した女型の巨人は、立ち上がってはまた走り出した。その様子を呆然としてしまったアルミンは、やがては驚きの表情へと変える。
「殺さない…のか?何だ今の…?フードをつまんで…顔…?顔を確認した…?」
アルミンの背後から…アルミンの名前を呼ぶ人物がいた。それは、ライナーだった。ライナーの横には、もう一頭の馬がいた。
「おい、立てるか!?イヤ…とにかく馬を走らせねぇと壁外じゃ生きてられねぇぞ!急げ!」
「うん!」
アルミンは、急いで返事をすればライナーが連れて来た、馬に乗る。ライナーは、女型の巨人の方向を見ていた。
「奇行種の煙弾を確認したが、あのいいケツした奴がそれか?」
「奇行種じゃない!巨人の体を纏った人間だ!」
アルミンの一言に驚きを隠せないライナー。そして、アルミンは慌ただしく煙弾を撃とうとする。煙弾で近くにいる部隊に知らせなくてはならない。
しかし、アルミンとライナーの近くからドォォォ!と音が聞こえてきた。
「待て!ジャンが撃ったみたいだ!」
そう、アルミンの代わりに撃ったのはジャンだった。