第4章 *2*
「君達は…壁外に住んでいる者達だな。」
「人間にしては、随分鋭い奴だ。」
クロークがエルヴィンを珍しく褒める。
「人間同士が争うとは、随分と物騒になってきたみたいだね。」
「否定はしない。」
エルヴィンは、別に隠そうという態度も取らない。その事には、シーラが目を少しだけ見開く。
「君達も調査兵団に協力しないか?」
「なんだと?」
エルヴィンからのまさかの誘いに、クロークの表情が一気に変わりどこか警戒をしている。もしかしたら、利用されては実験にさせられるのでは…と考えているからだ。
「もし協力をしてくれるのなら、君達の生活を調査兵団が──」
「断る。」
エルヴィンの言葉を塞ぐように冷たい言葉を放つキュラ。それを、聞いたエルヴィンは僅かに、ふっと笑っていたが3人はそれを気にしない。
「お前には、分からないだろうな。俺達の気持ちなど。散々、人間に化け物扱いされた事を…。」
「僕達は、人間が嫌いだ。僕達を利用しては、都合が悪くなるとすぐに僕達を捨てる。そんな傲慢な人間共は嫌いだ。自分の事しか考えてない。」
「それに、殺されそうになったのは過去にも沢山あった。だからボク達は人間を信用してはならない。」
3人は、冷たい瞳でエルヴィンを見る。しかし、足音が聞こえてきた為、3人はその場から姿を消すのだった。
──傲慢な人間か…。
エルヴィンは、心の中でそんな事を思っていながら調査兵団本部へと向かったのだった。