第2章 再会
赤司くんと連絡先を交換してからというもの、毎日必ず一通は彼からメールが届く様になった。半ば強引に私の連絡先を知り得た彼だったけれど、メールの文章はいつも丁寧で私を気遣ってくれていた。私の読み通り彼はまだ大学生の様だったが、片や私はバリバリの社会人。生活リズムが違う為、毎日メールをもらっていても仕事で疲れていたりすると返せない日もままある。それでも、赤司くんは責めるわけでもなく、仕事に追われる私を労わってくれていた。実を言うと度々食事に誘われているが、やはり生活リズムが違う事と今仕事がバタバタしている事も重なり、それはまだ実現していない。
私もメールでやり取りを重ねるうちに、初対面の時ほど苦手意識を持つことも無くなっていった。ああ言われてどんな風にアプローチをするのかと若干冷や汗をかいていたが、赤司くんは絶妙な距離感を保ってくれている。それにほっとしている反面、申し訳ないと思う。年下の彼に気を遣わせているのだろうという事は重々承知していたが、如何せん恋愛に関しては随分と奥手な自分がいる事もまた事実。初対面で告白はされたが、正直な話、赤司くんを恋愛対象とは見られない自分が居る事は自覚していた。
年下の従弟がいるせいだろうか。どうにも、あのくらいの年頃の男の子は恋愛対象としては見られない。赤司くんは従弟よりずっと落ち着いているが、社会人と学生と言う立場の差は、結構大きいものだ。まして、彼の様に容姿端麗で気遣いのできる男の子を女性は放っておかないだろう。恋愛経験値が乏しい私からすれば、全体的に見てどう考えても彼は高嶺の花の様な存在で。どうにも居心地の悪いこの立ち位置をどうしたものかと、メールが来る度に頭を悩ませていた。