第1章 出会い
それからは早かった。
あと15分で向かうと告げてしまった私にあまり時間の猶予はない。それは赤司くんにも分かるだろう。そのままあの場を去ってしまいたかったが当然許されるわけもなく、なんと連絡先を交換する事となった。男女交際は何とか勘弁してもらった。私自身突然の事に頭がついていかず、告白されたからと言ってホイホイと釣られる様な女にはなりたくない。赤司くんは最後まで渋ったけれど、私に今現在恋人も好きな人も居ない事を伝えれば漸く引き下がってくれた。
「今は我慢します。でも、オレは諦めません。必ず、中山7さんを惚れさせてみせます。」
そう告げた後に、彼は徐に私の頬に手を添えた。そのままグイグイ顔を近付けて、なんだなんだと固まる私に綺麗に微笑んだあと、小さなリップ音。
―――ちゅっ
「覚悟してくださいね。」
頬にキスをされたと私が理解するよりも先に、不敵に微笑んだ赤司くんのその姿が本当に格好良くてただ見惚れてしまった。この日から、私と彼との奇妙な関係が始まったのである。