第2章 君の隣
「ん..............」
瞼に光を感じ、うっすらと
微睡みから目が覚めた。
数回瞬きをしてぼんやりした
視界がはっきりする。
目の前に無防備な寝顔があって、
つい笑みが零れた。
「すー.......すー..........」
穏やかな寝息を立てるラビに少し見惚れ、
柔らかい赤毛に触れる。
温もりを逃がさないように
布団にくるまった。
素肌に触れる毛布が心地良い。
ラビの顔を見つめた時、
ふと眼帯が気になった。
何があっても絶対に外さない眼帯。
少し寂しく感じながら指で撫でる。
― ラビにも言えない秘密はあるだろうし、
言いたくなったらきっと自分で言ってくれるよね。
言ってくれるまで、詮索はしないと決めていた。
「!!」
と、突然手首を掴まれた。
ラビの目がうっすら開き、
翡翠の瞳が太陽の光に輝く。
「おはよ」
悪戯っぽく囁くラビ。
「おはよ、ラビ」
笑い返すと、私の手首を離したラビは
起き上がって頭をガシガシかいた。
まだボーッとしているらしい。
そのままの姿勢で固まっている。
横目で見ていた私は、
ボフッと枕に抱きついた。
顔を埋めて、伸びをする。
「んー.......ねみぃ...」
「ふわぁ...そろそろご飯行く?」
あくびをしながら聞くと、
移ったのかラビもあくびした。
「んー...まだこうしてる....」
「うわっ!?ちょっと、重い~」
「んー...」
うつ伏せの私に、のしかかるように
抱きついてくる。
細身でも、男の体を押し退けれるはずがない。
諦めて枕に埋まると、部屋に沈黙が漂った。
ラビは起きるたびにこうしてくる。
まるで、私の存在を確かめるように。
― ...背中にラビの鼻息が当たって
くすぐったい。
体を少し捩ると、ラビは深々とため息をついた。
思わず動きを止める。
― やっぱり、疲れてるのかな。
このところ、ずっと任務で忙しそうにしていた。
私が抜けた分大変なのかもしれない。
― ラビもアレンもリナリーも、
教団にいるときはずっと笑顔で.......。
疲れているだろうに...。
気遣えていないことに、今さら気付いた。