第4章 第三話
「あら、悠さん蘭ちゃん。今日は二人だけなのね。」
他の皆はそれぞれの用事があるらしい。
「後から桃も来るって。調子良いみたいだね、今日は。」
最近は滅多に吐かないし、咳すらあまりしない。
「蘭ちゃんが帰って来てからずっと元気なの。」
そういえば蘭はあやめが調子悪いところをあまり見ていない。
「それは良かったです。義姉さん。」
あやめが微笑んだ。
「本当に最近は良いことばかり。令さんと結婚して、悠さんが義弟になって、二人とも八大様に入られたし…蘭ちゃんも帰って来たもの。」
さらにあやめが笑顔を見せた。
「嵐の前の静けさじゃないといいけどね~」
襖が少し開いた。
「こら、蘭。不吉なこと言わないの。」
桃が来ていた。