第5章 六年前
あの言葉聞いてるときは地獄だったな。今となっては生んでくれただけ感謝してるよ。それだけできっとお母様にも出会えたし悠にも会えたと思う。
「あやめさん…僕の事呼び捨てにしてください。なんだか落ち着かないので。」
今まで皆に呼び捨てされてきたし…『ちゃん』『君』って嫌いなんだよね。
「あら、そうわかったわ。……なんで此処に来たの?でも答えたくなかったら良いのよ、答えなくて。」
たぶん一生の付き合いになるのかな。なら言っちゃったほうがいいよね。
「桃~本持って来たよ…ってあやめさん。」
あ、忘れてた。
「知られちゃって良いの?」
「匡さんが良いって言ってたから良いよ。」
まあなんでもいいか。
「あやめ~華やっと見つかったよ~…って悠じゃん。なんで居んの。」
「いやいや、こっちのセリフだよ。」