第5章 六年前
「ひどくない?忘れるとか。まぁいいや桃も一緒にやろうよ。ここでじっとしてるとか暇じゃない?」
隠れていなきゃいけないのに?さらに隠れる?
「蘭ちゃん人の話聞いてた?桃ちゃんはお屋敷の人に見つかっちゃいけないの。」
「あーそっか。じゃあ華も呼んでくる。ここでお喋りしよー」
華ちゃん…て誰?
「桃ちゃん完全に圧倒されてるわね…あの人は蘭ちゃんって言って私と匡さんのいとこなのよ。あともう二人いとこが居るんだけどね、その内の一人が華ちゃんっていう蘭ちゃんの双子の妹なのよ。もう一人は祥さんっていう匡さんのお兄さん。祥さんは跡取りなの。匡さんは祥さんを超えて跡取りの座を奪うつもりでいらっしゃるみたいだけど…。」
跡取り争いか…僕もお母様に拾われた理由が優秀な跡取りの素質があるから、だったっけ。捨てられた理由も優秀だからだったなぁ。なんだったかなぁ本当のお母さんが施設の人に言った言葉。
『あの子、まぁよく言えば優秀なんでしょうけど気持ち悪いの。あの小ささでもう喋るんだもの。しかも私の言った一字一句覚えてるのよ!?もう耐えられないわ、よろしくおねがいしますね。』