第5章 六年前
「あら、そうなんですか。これからよろしくね、あまりおもしろくないかもしれないけど。」
いつの間にかあやめのお付きの人が居なくなっていた。
「いえ、かまってくれる人がいるだけで嬉しいです。ここ四年くらい友達が居なかったので。」
「俺、修行行ってくるぞ。あやめ、桃頼むな。」
そう言って匡は部屋を出た。
「行ってらっしゃいませ~」
二人きりになった。
「匡さんて何の修行してるんですか?」
「当主になるため…跡継ぎになるための修行よ。」
跡継ぎ…?
「あやめ?ここに居るのかっ。」
襖が開いた。
「あやめ見ーっけ!ってどちら様?」
さっきもどちら様って言われたなぁ~
「この子は桃ちゃん、って言ってここに隠れ住む事になったらしいの。ていうか蘭ちゃん達とかくれんぼしてたんだったわね。忘れてたわ。」