第4章 十年前
悠は少し考えたが、桃の寂しそうで悲しそうな作り笑いを見たら少しでもこの子と一緒に居よう、と思った。
「ねぇねぇ、悠。」
何となく尋ねてみた。
「ん?何?」
ちゃんと目を見つめて答えてくれた。
「…なんでも無い。」
笑顔でそう言った。
「気になるよ。何?聞きたいこと聞いていいんだよ。」
笑顔でそう返された。
「ん~何も聞くつもり無かったんだけどな。悠は僕のこと好き?僕は悠のこと好きだよ。」
率直に聞いてみた。
好きなのかな、桃のこと。でもたぶん、
「好きだよ。」
たった一言だった。でも悠の顔は真っ赤だった。
「これからずっと会ってくれる?」
やっぱり友達が居なくなって寂しいのだろう。
「うん、ずっと会おう。大人になっても、ずっと。」
思ったよりすんなり言葉が出てきた。
「ほんとに…?」
まっすぐに見つめてきた。この目に嘘を吐くことはきっとできない。