第2章 白い鬼の子
燐side
昔から疑問に思っていた。
頭に2本の角、長い爪、尖った牙。そして、異様なほどの白い髪と呑み込まれてしまいそうになる金色の目。
それが私の姿……異形の姿……まさに白い鬼。
笑える…私が鬼の子?
それじゃ我が子が私と同じ姿になったら、あなた達は自分の子を殺せる?
無理に決まってるでしょ?
たとえそれが鬼の子だろうと愛する我が子なのには変わりないのだから…
そう、私は1人…
親はいない。
私は1人…家族はいない…
私は好きで鬼の子に生まれた覚えはない。
親の顔も知らない。
ただこの姿で居るだけで彼等は恐れ私をここに閉じ込めた。
薄暗い洞穴……自分の手足と首に繋がる枷…光さえ届かないこの穴…朝と夜に食事が届けられる以外外を感じられない。そんな穴の中で6年間、暮らして来た。
別に恨んでなんかない。
悲しくもない。
ただ必要とされたかった。
誰でもいい…私を必要としてくれるのなら…私は死でも受け入れるだろう………
そう私が考え終えると洞穴の入り口の石が開く音が聞こえてきた。
私は入り口に目を向ける。
村の人たちがこちらを見ている。
なに?
村人「燐。お前が必要だ。」
え?
今なんて言った?
村人「お前に村の為に雨乞いの生け贄になってもらう」