第2章 *命日
私は、急いでベッドから這い出た。
そうだった。
忘れてた…。
今日が、命日だったこと。
がらり。
私は、クローゼットを開ける。
命日、か。
そっか。
もう一年も経ったんだ…。
希美が死んでから数週間の間は、クラスは希美の話題でもちきりだったことを思い出す。
それでも、暫く経てば、希美が死ぬ前のような…普段の生活に戻っていた。
それが、なんとなく怖かった。
もしかしたら、希美のことを、皆忘れてしまうかもしれない。
それは、私でも有りうること。
私は、現に今日が命日だということを忘れているのだから。
だから、今でも思う。
皆元気にしてたー?なんて言いながら、何処かからひょっこり現れるんじゃないかって。
…………あぁ、くだらない。
私は溜め息を吐くと、お気に入りのワンピースをハンガーから引き剥がした。