第3章 *言葉
「……うん、良いよ」
私がそう言うと、希美はパッと顔を上げた。
そして、こう言ったのだ。
「…ありがとう!」
にこり。
そんな効果音がつきそうな笑顔を浮かべる。
…一年前と、同じ。
そう思って、私はあることに気付く。
あれも、これも、全部、全部。
希美は、一年前と何も変わってない。
…時間が止まってるんだ。あの日から。
それに比べて、私は?
私は、嫌でも時間が過ぎていくんだ。
私は、首を横に振った。
…もう考えるのは止めよう。
そして、家のドアを開ける。
なぜか、ドアがすごく重く感じた。