第4章 言いたくて、言えなくて
これを、〝恋〟と呼んでいいものか。
どうせ、娘ができればこんなもんなんだろう。とかそういう感情なのだろうとは思っている。思っているのに、…成海が羨ましい。
こんな気持ちになるなんて、思ってもみなかった。年の近い男性とかならともかく、女で、私よりも三十くらい年下で、しかも息子の彼女だなんて。
年をとるっていやね。せめて同い年なら…いや、性別が違えば…ううん、息子と付き合っているわけじゃなければ…。
無い物強請りなんかしたってしょうがないね、それよりも仕事に行かないと。
おセンチな気分を消し去るため、コーヒーを啜った。