第2章 だって好きだから
杏子は、よくクラスの離れた彼氏に会いに行っている。
付き合っているから当たり前なんだろうけど、愛佳はわざわざ好きな人のクラスに行けるとは思わない。
実際、杏子のクラスに行くことは全くないから。女同士なのに。
友達に会いに行くのと同じじゃん。そう思うけど、どうしても行けない。
だから、杏子を見かけた時は抱き着いて、いっぱい話して、少しでも多くの時間を杏子と共有したくて。
彼氏の席に座り、笑顔を見せる杏子。友達からちょっかいをかけられても完全無視で、彼氏だけを見つめているその表情が、その視線が、その笑顔が、見ていて辛い。