第3章 異変
俺もユリの方に視線を向けていると......
「っ!?」
なぜか広場にいる狼達がユリの周りに集まってきた。
さっきのウサギやフェレットなどの小動物に囲まれたのとは
全く違う恐ろしい光景だった......。
「なぁあれ......やばくないか......?」
中にはユリよりでっかい狼もいる。
(っ...あんなのに襲われたら......)
動物園内で飼育された動物とはいえ
野生と同じ特徴を持つ狼......。
ただ心配でならなかった......。
俺がユリの元に行こうとした時......
「行かなくても大丈夫だと思うよ。」
「はぁ!?なんで!」
コイツ何言ってんだよ......。
「彼らは襲ってこない...ましてや彼女に......」
「なぁ...昨日から何なんだよ......
意味のわかんない事ばっかり言ってよ......これも、
"今の俺"には言えないって言うのかよ?」
「......。」
またそうやって肝心なところで黙り込む......。
気になって仕方ねぇじゃんかよ......。
「っちょユリちゃんっ!
そんなに囲まれて怖くないの!?」
すっかり狼に至近距離で囲まれたユリ。
そして千賀はその光景を見て驚いた表情でユリに言う。
「怖くない、なの。」
「ユリちゃんって肝が据わっているんだね....(汗)」
「きもが、すわってる...なの?」
初めて聞く言葉に首を傾げるユリ。
「うん、簡単に言うと怖いもの知らず...かな(苦笑)」
少し苦笑しながら言う横尾。
「いくら襲ってこないからって言っても、
子供にはきついんじゃない......?」
「「うんうん。」」
玉森の意見に賛同するメンバー。
「タマ達は...狼が嫌い、なの?」
メンバーを見上げるユリ。
その見上げた目は、
どこか悲しげでもあった......。