第16章 現実
宏光side
「っ父上......!」
「っユリ......」
ユリは本当の父親のもとに抱きついた。
そりゃそうだ......だって、
ずっと会えなかった“本当”の親が目の前にいるんだ......
嬉しくないわけない......
ユリは凄く嬉しそう......そんなユリを抱きしめる父親も......
「ユリ......」
ユリの本当の父親が見つかってよかった......嬉しいはずなのに......
「っ北山......」
藤ヶ谷がびっくりした様子で俺を見ていた。
「ぇ......」
っ俺......
宏光の頬には涙がつたっていた。
泣いてんのか......?
なんで......
っだって目の間にはユリの父親......
どのみち親元に戻すんだからこれでいいはず、
「父上、ずっと会いたかったの......。」
「私もだ......片時も、お前を忘れたことはない。
もちろん、母上もな......」
「っ母上......」
大粒の涙を流すユリ。
いいはずなのに......
なんでこんなに胸が苦しいんだよ......