第16章 現実
「......ユリ、」
「父上......」
「っ......」
(あれが、ユリの本当の父親.......)
「っ......王!なぜこのようなところに......」
リョウガは急いで白狼の元に走ってきた。
「リョウガか......お前のことは、他の狼のものから聞いた。
災難だったな......」
「っいえ!......心の傷は、もう癒えました......」
「そうか......」
「っなぜ王である方が、東京に......?
貴方は森から出てはいけないはず......」
「昨夜から、嫌な予感がしていたからな......森の精に説得を求め、
人間の姿となりここに来た。」
「っ......ユリを、
王女を守れずこのような事態を引き起こして申し訳ありません......
主犯格を全て殺したとはいえ、大勢の犠牲が出てしまいました......。」
リョウガは跪き申し訳なさそうに言う。
「リン達の行動は想定外だった......それに、お前はずっと人間の元にいたんだ。
しょうがないことだ......」
「父上......」
「ユリ......12年以来の再会だな。私のこと、わかるのか?」
_コクッ「......。」
ユリは頷く。
「......お前を救い出せず、済まなかった。
私がしっかりしていればこのような事にはならなかったかもしれん......」
「......違うの、誰も悪くないの。」
「ユリ......」
王は白狼の姿から人間へ姿を変えた。
ユリもつられるように変幻を解いた。
「っ父上......!」
ユリは駆け足で父の元に飛びついた。
「っユリ......」
父もユリを抱きしめた。
「ユリ......」
「っ北山......」
宏光はそんな様子を小さく微笑みながら見ていたが、
目には涙を浮かばせていた......。