第14章 奇跡を信じるのならば...
「っリョウガ......君?」
太輔は漠然と陽太を噛み殺した狼を見た。
「ねぇユリ......
ユリも早く殺りなよ......
_ペロッ...こんなに血が美味しいんだよ......?」
リョウガは口元についた血を舐めながら言う。
「っ......!」
(やっぱりリョウガ君......!じゃあユリちゃんは......)
太輔はリョウガの後ろの先を見つめた。そしてその先には......
「っこれが、白狼......」
「ゥゥゥゥゥ......」
「っユリちゃん......」
唸り声をあげ、毛を逆立てる一匹の狼の姿だった。
それは白狼へ進化を遂げた銀色の輝く毛並みを持つユリだった......。
宏光side
「藤ヶ谷.....っ、ユリ!?」
「えっ!......っそんな...こんなことって......」
「っ......」
画面は度々切り替わっており、今映し出されたのは
リョウガであろう黒いハイイロオオカミの姿と
毛を逆立てさせる白狼、ユリの姿が映っていた......。
リョウガのすぐ傍には一匹の狼の死体、太輔の目の前にはユリが立っている。
「っ...あのままじゃ......」
あのままじゃ確実に藤ヶ谷が死ぬ......!
「っクソ......!」
宏光は身体を画面から背を向け地下の上へ走っていった。
「っミツ!?」
「っ北山!!行ったらダメだ!太輔とも約束したんだろ!?」
渉は宏光を止めようと追いかける。
っんなの関係ねぇよ......やっぱり!
「っお前が行けば確実に死ぬぞ!そんなの、
太輔もユリちゃんも望む訳無いだろ!」
やっぱりほっとけねぇんだよ......
俺に......
『ユリ様達を助けられるのは、貴方しかいないのかもしれませんね......』
俺に少しでもユリ達を助けられる力があるなら......!