第13章 襲来
「っ...ぁ......」
そしてユリは変幻が解け、人間の姿に戻りリョウガの胴に倒れこんだ。
「ユリ......!」
「っ所長......!」
神楽は翔を肩を抱きゆっくり起こした......
「っ...か、ぐら......」
翔はゆっくりと目を開けた。
「っしっかりしてください所長!」
「神楽......やっぱり、俺には...無理のようだな......
彼に、合わす顔がない......」
「っ何をおっしゃいますか!貴方は充分やり遂げました......
ユリ様にも、リョウガ様にも所長の声は届いているはずです!
北山さん達も、きっとわかってくださいます......」
「だが俺はユリ達を止められなかった......でも、これで良かったのかもしれない。
これは俺が今までしてきた当然の報いだ。ここで死んでも、
っ....悔いはない(微笑)」
「っ所長......っ所長!」
翔は掠れた声で呟き小さく微笑んだまま目を閉じた......。
「っ早く所長を病院へ!ここは一旦引き上げる!早く!」
神楽は傷ついた翔を抱き上げ他の研究員に撤退するよう声を荒らげた。
「......。」
そんな様子を、リョウガは不思議そうに見つめていた......。
__現在
「っユリが......御子柴さんを......」
電話で全てを聞いた宏光は顔を青ざめていた。
『えぇ......』
「っ......」
「みつ、顔が真っ青だよ......大丈夫?」
高嗣は宏光を心配そうにうかがった。
「っそれで......御子柴さんの様態は......」
『手術中のため、何とも言えまえん。
急所さえ外れていれば助かる可能性は十分あります。
でも、ユリ様の姿は人狼ではなく狼の姿......
爪の力も、普段より強いはずです......。』
「っそんな......」
(下手したら、死ぬってことじゃん......)