第12章 滅亡の危機
「ここで大丈夫なんですか?」
「えぇ、あとはタクシーでも電車でも帰れますから。
ここまで送ってくださってありがとうございます。」
「いえ、これくらい容易くありません。我々も短期間とはいえ
地下牢に閉じ込めてしまって申し訳ありませんでした。
ユリ様達を救い出しましたら、すぐに連絡を入れます。
これが、私の番号です。念の為に登録しておいてください。」
神楽は電話番号の書かれたメモを宏光に渡す。
「わかりました......神楽さんも、アイツ等のとこに行くんですか?」
「えぇ、私はこう見えて戦闘員なんです。
少々所長達には遅れますが私もすぐ現場に向かいます。」
「......死なないでくださいよ?」
「はい、ありがとうございます。
では、私はこれで(微笑)」
神楽は丁寧にお辞儀をし、車を走らせた。
「......北山、」
「なんだよ、藤ヶ谷......また西園寺達が人狼っていう話か?」
「......もしユリちゃんとリョウガ君が、
狼の姿で東京に現れたら......どうするつもりだ?」
「どう、するって......」
(いきなりなんだよ......)
「仮にユリちゃん達を使って東京を滅ぼすなら、
昨日と同じく二人を操ってくるだろう......」
「そう、なるだろうな......」
(あのふたりが自らこの世界を滅ぼしたいだなんて願わないはずだ......)
「もし、ふたりがこの世界を滅ぼすって言うなら......
俺はふたりと戦う。」