第1章 裕也と私
「やっぱり…そうだよね!私男の人にこんなに優しくしてもらったの初めてで、それが嘘か本当かなんて全然…わからな…っ」
やだ、こんなところで泣くなんて。
涙出てこないで!おさまれおさまれ!!
手で拭っても拭っても、ただビショビショになるだけで終わる。
付き合いたいと思ってたわけじゃない。
裕也が自分のものになってほしいと思ってたわけじゃない。
だけど、優しさくらいは本物であってほしかった、なんて贅沢なのかな?
ジローちゃんがハンカチを出しながら、優しくポンポンと頭を叩いた。
「さっき、沙雪ちゃんみたいな娘は心配しちゃうって言ったけど、あれはウソ。」
「っぐっ…?」
「確かに限界までホストに貢いじゃう娘は多いわ。だけど本気で心配したのは沙雪ちゃんだけ」
「…?」
「私はね、今日沙雪ちゃんの様子を見て放って置けなくなったの。前から素朴で可愛くて気にはなってたけど、今日は使いすぎだから」
「…ごめんなさい」