第8章 〈サボ〉どうして冷たくするの?
ご飯を食べた後も、サボは甲板に行って本を読んでいた。
「サボ」
レイはサボの名前を呼んで、隣にそっと腰を下ろした。
「……何をそんな真剣に読んでるの?」
「……」
「ねえ、サボ、聞いてる?」
「……」
「……」
レイはムッとした。
(……また、私のことに気付いてない……)
ーーサボはいつも、集中して何かしらの本を読んでいる。そのため、レイが隣に来ても全く気付かない。
(まあ、いいや)
レイは目を閉じた。海を駆け巡る潮風がとても気持ちいい。
(あなたの隣にいられるのなら、それだけで……)
ーわたしは満足だから。
レイはそのまま、眠りについた。
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