第6章 〈エース〉あなたがいない世界は
炎とマグマが衝突する。だが、炎はマグマの下。上下関係は明らかだった。間も無くして、エースは吹き飛ばされる。
「エース!」
サーヤはその様子を確認しながら、その後ろでルフィが膝をついたのを目撃した。きっと、体力の限界なのだろう。そして、何かを落としてしまったのか、それを拾おうと手を伸ばす。
ーーその隙を、海軍大将が見逃すはずがない。
「ルフィ!」
エースの叫び声が戦場に響き渡る。
エースと対峙していたはずの赤犬がルフィの元へ、能力を使って襲い掛かろうとしていた。
ルフィはそれに気づかず、自分の下にできた黒い影を見て顔を上げる。目の前には赤犬が迫っている。
「っ!」
エースは義弟の危機を察知して、その間に割って入った。しかし……。
「!?」
誰かにルフィ諸共、突き飛ばされる。地面に叩きつけられ、顔を上げる。
「……サーヤ!!!」
そこには、自分たちを庇って赤犬に腹を突き破られたサーヤがいた。口から血を吐き出す。
「サーヤ! サーヤ!」
赤犬はサーヤの体から拳を抜き、もう一発攻撃を喰らわせようとした。
「やめろー!」
エースは力の限り叫ぶ。しかし、赤犬は攻撃を止めようとしない。