第6章 〈エース〉あなたがいない世界は
「……」
(エース)
サーヤはエースとは何の関係もないただの上司と部下だ。そう、ただの。サーヤはエースに恋心を抱いていたが、エースは定かではない。
「……マルコ」
「何だよい」
サーヤはマルコを振り返った。
「……まだ、攻撃してはいけないの?」
「あァ」
少しムッとした様子で、サーヤはマルコを睨んだ。
「しょうがねェだろい。親父がいいって言うまではおれたちは動いちゃいけねェんだよい」
「……」
確かに仕方がないと言われれば、仕方がないことなのだ。ーー白ひげ海賊団では白ひげの命令である船長命令が絶対なのだ。
「……」
サーヤはその時を待ち焦がれていた。ーー早くしないと、エースが殺されてしまうかもしれないからだ。きっと、海軍のことだから何か手は考えているだろう。そうでなければ、白ひげ海賊団という世界最強の海賊団相手に何の策も講じないで戦争をするなど無謀以外の何者でもないからだ。最初から、白ひげ海賊団は相手の土俵の上に立たされているという覚悟でここにいる。
「マルコ」
「今度は何だよい」
マルコもエースの処刑台を見ながら言った。
「……正直、エースを取り返せる可能性って何%だと思う?」
「……」
マルコはため息をついた。