第5章 〈ONE PIECE〉お前の夢の果て
争いの種を撒き散らした張本人が飄々と言いのける。ーープロデューサーはいつもこんな感じだ。おれらが演じている超新星の9人をキャスティングするのも、2時間くらいで終わったと聞いた。
『この前、キッドくんとローくんがデュエット曲を発売しただろ?』
「……あァ」
少し前に、原作の『ONE PIECE』20周年を記念して、エピソード毎に準主役級の活躍をした役者が歌を収録したアルバムが発売された。おれとトラファルガーはそれの中の『シャボンディ諸島編』もとい『超新星編』の代表者として、歌うことになった。
『その曲が思った以上に反響が多くて! ルフィくんも交えて、3人でユニット曲を出して欲しいって要望が寄せられててね!』
「……」
ーーファンのお願いだから、やるしかないというところか。それとも、金が入るからやるのか……まあ、きっと後者だろうが……。
『ちなみに、その曲を披露する日時と場所も決まってるんだよ!』
ウキウキな様子でプロデューサーは手帳をスーツの胸ポケットから取り出す。
『えっとね、5月3日の東京ドーム! ASLのライブで、曲を出すことの発表と同時に3人がファンの前に出て来て歌を歌う! 盛り上がるぞー!』