第5章 〈ONE PIECE〉お前の夢の果て
『カットー!』
監督の声がスタジオに響き渡る。
『いやー! キッドくん、キラーくん! 良かったよー! さすがだねー!』
「……」
おれは黙って立ち上がった。
「おい、監督」
『ん?』
監督は首を傾げる。
「何で、キラーが死ななきゃならねェんだよ! おかしいだろ!」
『そ、そう言われても……』
監督の胸ぐらを掴んで詰め寄る。
「それに! ついでだから言わせてもらうが! どうして、シャボンディで共闘した3人の中で、おれだけ同盟ハブられてんだよ!?」
『そ、それはちょっと、いろいろあって……』
「数年ぶりに、やっと出番が来たと思ったら……少ししか出番はねェし、同盟は裏切られるし、相棒や仲間はこんなことになって……不憫すぎるだろ!?」
『た、確かに……可哀想だけど……そ、そんなこと、言われても……尾◯先生が……』
目の前で監督はあたふたしている。
「キッド、そこまでだ」
「あァ!?」
おれは目を釣り上がらせて、後ろにいたキラーを振り向いた。
「脚本家がその方が面白いと思って書いているんだ。仕方あるまい」
「だからってな!?」
「キッド、これは仕事だ」
「おれらの本業はバンドマンだ!!!」