第5章 〈ONE PIECE〉お前の夢の果て
「おれは……後悔しかねェぞ」
泣きたくないのに、涙が溢れて止まらない。
「ファッファッファッ」
自分自身が大っ嫌いなはずの笑い声を轟かせ、キラーも涙を流している。
(……お前だって、後悔してるじゃねェか……)
ーーいつもそうだ。ワガママを言うのはいつもおれで、キラーはそれに付き合ってくれていた。
「お前と面白ェ話をして、また馬鹿笑いをしたかった。お前を守れる、強い男になりたかった。お前とこの先もずっと、旅を続けたかった。お前と……」
ーー航海に出る前に約束したこと。
「お前と……〈ひとつなぎの大秘宝〉を手に入れたかった……」
「ファッファッファッ」
キラーは相変わらず、ずっと笑っている。だが、おれもキラーも涙が止まらなかった。
「たくさん、笑い合ったじゃないか……。お前は……強くなった。昔みたいに、守られてばかりの……キッドじゃなくなった。旅も……こんなに遠くまで、来れた」
ファッファッファッと血を吐きながら笑って、キラーは言葉を発する。
「……だけど、嘘をついたな……」
笑うのをやめて、キラーは泣きながら言った。
「1つだけ、後悔をしていることがある」
「……」
(やっぱり、あるんじゃねェか……)
思ったことは何も言わず、キラーの次の言葉を待つ。
「お前と一緒に……夢の果てを見ることができないことだ」