第3章 〈ONE PIECE〉愛してくれてありがとう
「よぐ頑張っだな! ざずが、おれのぎょうだいだ!!」
「ザボー! エーズがー!」
「ああ、ルフィ、づらがっだな!」
「ザボー! ごめんなー!」
「エーズ、ぞんなごど言うな! お前は頑張っだ!」
『……』
鼻声すぎて、何を話しているのかわからない3人を側から見ていた監督は呆れたように肩をすぼめた。
『全く、3人揃ってブラコンなんだから……そんなに泣かないでよ……。ドラゴンさんにおれが怒られちゃうよ……』
3人は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を監督に向けた。
『後でいくらでも泣いていいから、この勢いで次の撮影もしちゃうよ』
「なんだよ、まだあるのか?」
スタッフからティッシュを貰ったエースは鼻をかんだ。
『あれ? サボくんから聞いてないの? 台本も渡しといたんだけど……』
監督はチラッとサボを見た。
サボはティッシュで鼻をかみながら、監督に向けてピースをした。
『……』
(そういうことね……)
監督はふーとため息をついて、落ち着いた様子のエースとルフィに言った。
『実はもともとこの話、エースくんは生きてルフィくんと一緒にサボくんと再会する予定だったのね?』
「え!? そうなのか!?」
ルフィは目ん玉が飛び出るくらい目を見開いて驚いた。