第3章 〈ONE PIECE〉愛してくれてありがとう
「おれが、これから言うことを……後からみんなに伝えてくれ……!」
瞳が揺れる。出たくない涙が溢れそうになる。
「……親父……みんな……そして、ルフィ……今日まで……こんなどうしようもねェ、おれを……鬼の血を引く、この……おれを……」
ーー今まで出会ったたくさんの人が脳裏をよぎる。
「愛してくれて……ありがとう!」
ーー涙が溢れる。幸せな人生だったと、最期の最期にそう思えた。おれは幸せ者だ。
「……うっ……」
堪えていた涙が溢れる。エースの言葉が全てを物語っていた。兄が笑い、自分を抱き締めていた力が緩む。気付いた時には、兄は地面へ向かって倒れていた。
「あ……エース……」
エースとの思い出がフラッシュバックする。
「エース……」
もう、何が起こったのかわからない。ただ、空を見上げて泣いた。
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